今回、HI州で弊社とのご縁もあり看護師として働き始めた日本人ナースにじっくりお話を伺う機会をいただきました。
日本で看護師をしながら、何度かハワイを訪れるうちに、将来ハワイで看護師をやりたい!という夢を抱かれ、実現されています!
ビザを取得してハワイの地に立ったものの、英語がわからない中、アパート探しや、車の購入、ソーシャルセキュリティー番号の取得、何から何まで英語で対処しなければなりません。迷いながらなんとか必死に生活の基盤を確立したそうです。
NCLEX
アメリカで看護師になるためには、NCLEXというテストに合格しなければなりません。受験資格を得るための準備・また受験勉強は日本で「独学」で行ったそうです。
初めてNCLEXを受けた時には、よくわからず合格には至らなかったそうですが、その口惜しさがばねになり猛勉強をした結果、たったの3か月後に臨んだ再試験には見事に合格されました。
就職
そしていよいよ、就職活動。しかし、日本との違いに戸惑ったそうです。日本では、看護学校の卒業に合わせた時期の採用が多いですが、アメリカでは、決まった時期はありません。医療機関としては、空きがあるときに求人をだすので、それに合わせて応募します。また、アメリカでは、医療機関の、応募が出ているポジションに申し込むのも日本とは違うことを学んだそうです。
日本では、リーダーを含む集中治療室など急性期の豊富な経験があるものの、アメリカでの経験値はゼロ。ということで、英語のハンデも考慮し、老人ホームやSNF(高度看護施設)の就職の方が見つけやすいと医療関係者からアドバイスもあったそうです。また英語のハンデから、病院によっては外国人看護師はNew Grad(新卒)採用になるとも聞かされていたそうです。
当初は外来クリニックで看護師としてお仕事を始められましたが、それでも、急性期病院での就職にこだわり、就職フェアに参加したり、応募されたり、弊社からのご縁もあり病院での就職を獲得されました。
オリエンテーションを終了し、独り立ちされた現状について詳しく伺いました。
英語
まだまだ日々勉強中。周りのスタッフに助けられながら毎日が勉強。昨日わからなかったことが今日わかる、など上達を実感している。英語ができずに解雇された人もいたといううわさを聞いたことがあるため、緊張の毎日でドキドキしていますが、今のところくびになってません(笑顔)
職場
50歳以上のベテランさんが多い職場で仕事をしているせいか、どんな小さなことでも(例:電話対応)出来るようになったら褒めてもらえるような恵まれた環境に感謝している。出来ないことより、出来ることにフォーカスできる職場で、とてもポジティブな気持ちで仕事ができている。
仕事
日本で、外科、内科、消化器内科、ICU、またリーダー業務の経験も積まれてから渡米され、短期間でアメリカ看護師としてICU勤務!という飛躍をされました。日本とアメリカの違いについてお話しくださいました。
- こちらのICU勤務では、患者がERから来ることも多いので、どんな患者さんが来るか、全く想像がつかない。ホームレスが来ることもあり、想像できないくらい清潔状態が悪い患者もいる。
- 完全に受け持ち制なので、自分で患者をケアする中、疑問があったら医師に報告して指示を仰がなければいけない。指示待ちでは成り立たず、病状を見過ごしてしまうことがないように注意深く診ていかないといけない。時に医師とのディスカッションが大切で、医師の指示についても違和感があれば、しっかり主張していく必要がある。いわゆるダブルチェックはなく、自分が責任をもってケアしていかなければいけない、という緊張感の中で仕事をしている。
- 看護展開が読めるか否か:ICU患者は、急に悪化することもあり、病状を見ながら常に起こりうることを先読みながら看護を進める必要があり、日本での経験は大変役に立っている。早めに医師に連絡して指示をもらっておくことで、迅速な対応をとることができる。
- 英語にハンデがあっても、ベースの知識があれば、リスペクトされる。新人で、電話の対応にも困ることはあるが、患者の異変に気づいたり、ケアについてしっかりした知識があるかで判断される。
- まれに、ICUであまり患者がいないときは、病棟の方に送られることがあるが、そこでも日本での経験が役に立っている。ICUだと、1-2人の患者を受け持つが、病棟では何人もの患者を受け持たなければいけない。慣れていないと、てんてこまいで、全くひどいことになりえるが、日本で多数の患者の受け持ちを経験しているので、その対応にも役に立っている。
- 日本で、ICUに配属されるにはリーダー経験が必要とされたが、医師からの指示受けなどを含め、その経験もとても役に立っている。
医師
患者を直接診ているのは看護師で、尊敬してくれているのを感じる。医師も、チーム制に分かれていて、もし、対応の悪い医師がいた場合には、レポートするシステムができているので、無意味な我慢をする必要がない。お互いに尊重しあって仕事ができる環境が整っている。
文化の違い
「当たり前」が違うので、戸惑うこともあるが、”おおざっぱ”な気がする。”郷に入れば郷に従え”で、臨機応変に対応していくことが大切です。
- ハワイは、移民に寛大な文化があり、人種差別のような経験をしたことはない。英語についても、”あなたと話せば、ネイティブスピーカーでないことはわかるのに、それでもゆっくり話したりという気づかいを相手がしないなら、それは相手が悪いわ。”などと言ってくれる上司がいて、とても心強い。
アメリカで看護師をめざす方へのメッセージ
”とりあえずやる!”
”当然全て英語、困難があって当たり前。前向きに諦めず行動!”
”ポジティブにオープン・マインドで!”
”HELPが必要な時は、素直にHELPをもらう!”
また、アメリカでの就職は、経験のある科で就職することになることが多いので、日本での経験がとても大切。職場を転々とするのではなく、ひとつの科に、3年以上務めることもかなり重要。将来アメリカに来て看護師として働く自分の理想に繋がる経験を日本で積んでおくと就職の際有利。
これからの目標
ICUなど救命救急で働く看護師が取得できるCCRNという証明書を取得し、ICUでの仕事の専門性を深めたい。また、日本からのアメリカを目指す看護師のサポートもしていきたい!
まとめ
日本で看護師として働きながら、ハワイ州で看護師になる、という大きな夢に向けて、ひとつひとつの課題・困難をクリアされたお話を詳しくお話しくださいました。強く受けた印象は、”行動力の高さ”と”チャレンジ精神”です。
目の前にチャンスが巡ってきても、現状に甘んじるのか、新しいことにチャレンジする機会を掴みとるのかは人それぞれです。が、やはり ”とりあえずやる!” という姿勢で、ご自身の夢を叶え将来を切り開かれた姿に感銘を受けました。これまでにかなりのエネルギーを消耗され、決断力を求められる場面にも幾度となく遭遇してこられてきたと思いますが、素晴らしいマインド・セットでこれからもご自身の道を切り開いて行かれると信じています。
夜勤明けのお疲れの中、詳しくお話をいただくお時間をいただけましたことを心から感謝致します。現在、日本でアメリカ看護師をめざしている多くの方の励みになるようなアドバイスをたくさんいただけたのではと思います。
これからも、更なるご活躍を期待しています。
ありがとうございました!