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海外からの医療従事者を求める                        深刻な米国の医療従事者不足の現状

米国の医療業界は深刻な労働者不足に直面しており、その危機は新型コロナウイルス感染症のパンデミックによってさらに悪化しています。 米国病院協会は、2033 年までに最大 124,000 人の医師不足に直面すると推定しています。一方、需要の高まりに対応するには、少なくとも年間 200,000 人の看護師を雇用する必要があると予測しています。

 

 

また、現在の労働力の傾向が続けば、2026年までに650万人以上の医療従事者が永久にその職を離れる一方、彼らの代わりに就くのはわずか190万人で、国内で400万人以上の労働者不足が生じるのではと予測している研究もあります。 

 

 

米国で最も人手不足に直面している職種や、医療従事者不足を緩和するためにどのような措置を取れるかなど、医療従事者不足について詳しく解説します。

 

なぜ医療現場では人材不足が起きているのでしょうか?

米国の医療人材不足の理由はいくつもあります。 

 

主な要因は人口動態です。人々の寿命は長くなり、その分必要な医療ケアが増えています。その反面、医療従事者が高齢化してリタイアするものの、新しい医療従事者の数が追い付いていません。

 

その他の理由としては、過労労働を続けることにより起こる燃え尽き症候群などで離職する人がいることです。また、 糖尿病、心臓病、がん、アルツハイマー病などの慢性疾患の増加により、病院や長期介護施設のスタッフがさらに必要になっています。更に、看護学校や医学部の教員不足により、増大する需要に応えるのに十分な医師や看護師を教育できない現実もあります。 看護助手などの医療従事者の仕事の需要や教育要件は高いにもかかわらず報酬水準が比較的低いことも考えられます。

 

深刻に不足している職種

あらゆる種類の医療従事者が不足していますが、一部の専門職は他の専門職よりも深刻な不足に直面しています。

 

  • 医師:医師不足は専門分野によって異なります。 最も不足しているのは、大変な仕事・長時間労働等にもかかわらず、報酬レベルが比較的低い分野にある傾向があります。感染症の内科医、プライマリケア医、小児科医は、皮膚科医、放射線科医、形成外科医に比べて収入が少ない傾向があります。その一方で、人口の高齢化により、循環器医、整形外科医、血管外科医、神経内科医、リウマチ外科医、呼吸器内科医、その他の老年病専門医の供給が増加して、その多くが高齢になり専門職そのものを辞めつつもあります。

 

  • 看護師:2025年までに患者の直接なケアに従事できる正看護師が20万人以上不足する可能性があるという予測があります。2022年3月の労働力調査では、看護師回答者の29%が、直接な患者のケアを提供する現職を辞める可能性が高いと回答しました。そのうち 15% が、完全に職業から離れるつもりだとも答えました。多くの看護師は、燃え尽き症候群や給与不足を理由に、その職業を再考しています。保険、教育、人事など、新しい分野や関連分野でのキャリアの機会を求めて転職する人もいます。 看護プログラムへの入学者数は増加傾向にありますが、増大する需要に応えるにはまだ十分ではありません。

 

  • 看護助手:  人口の高齢化に伴い、住宅や老人ホームで働く看護助手の需要が供給を上回っています。 ある調査では、2025年までに44万人以上の看護助手が不足し、特に急速な離職が問題になると推定されています。

人材不足の原因

  • 燃え尽き症候群:臨床医の勤務は、長時間労働、猛烈なペース、精神的なプレッシャー、締め切りへのプレッシャー、影響力の大きい決定を迫られることの連続で、燃え尽き症候群になる危険性が高くなります。 医師と看護師の多数がストレスを感じているという報告があり、その割合はパンデミック中に急増した。 電子医療記録を常に更新しなければならないなど、管理業務の負担も燃え尽き症候群のもう一つの原因です。 長期的な影響としては、燃え尽き症候群に陥った医師、看護師、サポートスタッフが職を離れたり、標準以下のケアを提供したりする可能性が高く、患者の安全とケアの質が脅かされる危険性もあります。

 

  • 人口の高齢化:人々の寿命が延びるにつれて、より多くの医療、特に心臓病、糖尿病、およびほとんどの種類の癌などの慢性疾患を治療するためのケアが必要になります。 その一方で、医師や看護師は補充されるよりも早く退職し始めています。NCSBN (National Council of State Boards of Nursing)によると、看護師 の年齢中央値は 2022 年には 46 歳で、2020 年の中央値 52 歳から低下しました。

 

  • 教員不足:医療従事者を訓練し、教育する教員が、特に看護学校で不足していることです。 米国看護大学協会(AACN)の報告書によると、米国の看護学校は2021年に学部および大学院の看護プログラムへの資格のある志願者9万人以上の入学を拒否したそうです。主な理由として教員と臨床研修施設の数が不足していることが判明しました。 2022年の別の調査では、全米909の看護学校で合計2000人以上のフルタイム教員の欠員が特定されたそうです。

 

  • 専門職の厳しさの割に給料が見合わない:一般の労働者と比較して、医療従事者の給料は高く、米国では、経験豊富な看護師の平均年収は 7 万ドル以上、医師の場合は 20万ドル以上であり、専門医は収入の上位に位置します 。 しかし、医学教育にかかる費用、学問の厳しさ、時間の制約により、多くの人がそもそも医学分野に参入することを思いとどまらせ続けています。 医師の場合、学部と医学部の教育にかかる費用は全額で 50 万ドルを超える場合があり、必要なインターンシップや研修を考慮すると、教育が完了するまでに 10 年かかる場合があります。その他の医療以外の専門職によっては、比較的少ない学費ですむうえ、ストレスの少ない仕事に対して高い給与が期待できます。

医療従事者不足をどうしたら改善できるのか

  • テレヘルスの導入:現在、米国のほとんどの家庭でインターネット アクセスが利用できるようになり、基本的な健康相談や遠隔健康モニタリング サービスを幅広い層が利用できるようになり、また、多忙を極める医療従事者や施設がより多くの患者にサービスを提供することが容易になります。 同時に、一部の医療機関では、医師や看護師にスケジュールの一部をリモートで勤務するオプションを提供しており、これは、家族や家庭の事情で離職を検討していた人にとっては仕事を続けられる選択肢になります。 遠隔医療には、医療提供者にとっては費用対効果も高く、多くの患者にとっては便利であるという利点もあります。 さらに、感染症患者が感染の拡大を防げるというメリットもあります。

 

  • スケジュールを調整する:より生活に適したワークライフバランスを促進するために、一部の医療雇用主は、始業時間をずらしたり、シフトを重複させたりなど、柔軟なスケジュールをスタッフに提供しています。 また、スタッフが自分でスケジュールを設定できたり、一定の時間は在宅勤務することも許可するなどしています。

  • 仕事を分担する:NP(ナースプラクティショナー)やPA(フィジシャンアシスタント)は、患者の診断や薬の処方など、かつては医師のみが行える責任の多くをすでに行っています。また、採血、点滴、入浴と食事、特定の看護業務などを准看護師や、看護助手が担うことにより、看護師の負担が軽減されます。

 

  • ふみ込んだ採用をする:熟練した医師、看護師、技師のような医療従事者を見つけるのは、単 に求人広告を掲載するほど簡単ではありません。医療 組織の文化にうまく溶け込みそうな人材を特定して引き付けるには、最新の AI ベースの採用ツールのサポートを受け、専門のヘッドハンターが実施するカスタマイズされた検索が必要になるでしょう。
  • スケジュールを調整する:より生活に適したワークライフバランスを促進するために、一部の医療雇用主は、始業時間をずらしたり、シフトを重複させたりなど、柔軟なスケジュールをスタッフに提供しています。 また、スタッフが自分でスケジュールを設定できたり、一定の時間は在宅勤務することも許可するなどしています。

まとめ

今回は、医療従事者の深刻な人材不足について、特に不足している専門職・現状・原因・改善策について解説しました。人口の高齢化により、医療のニーズが増加する中、供給が全く追い付いていない現状です。海外で教育を受けた看護師もいろいろな医療現場で活躍しています。

 

 

アメリカで看護師になりたい、などどんな些細なご質問でもお待ちしております。

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